トランザクショナル・ドキュメント:消費者は依然として紙を好む!(WhatTheyThink?)

トランザクショナル・ドキュメント・プリンティングとは、個々の人に対応したコンテンツを提供する通知書、請求書、小切手、給付説明書など、企業が配信する個別のコミュニケーションを指す。バリアブル・データ・プリンティングを最初に採用したアプリケーションだ。このトランズアクションドキュメントに関して、何度も調査を行っても、企業が期待しているほど配信のペーパレス化が進んでいないとの結果がでているのだ。

InfoTrendsのNichole Jones氏が当記事に寄稿.


サマリー

  • 去年通年で、延べ266億通の通知書や請求書などが米国の世帯へ配信された。
  • InfoTrendsの「2016年度トランザクショナルコミュニケーション・決済市況調査」によると、今年ペーパレスで配信される請求書と通知書は、全体の34%に過ぎないという。
  • CreditCards.comによる調査では、9300万人のクレジットカード保有者の半数が依然として紙の通知書を受け取っていて、今後も継続させたいという。
  • 銀行やクレジットカード会社など企業は、月次の通知書の電子配信を強く推進しているが、調査は、消費者はそれを受け入れる準備ができていない事を示している。


はじめに

バリアブル・データ・プリンティングという技術を最初に採用したトランズアクショナル・ドキュメント・プリンティング。各々の通知書、請求書、小切手、給付説明書などのコンテンツを特定の個人に対応させたアプリケーションを指す。このトランザクショナル・ドキュメントに関して調査を行うたびに、企業が期待しているほど配信のペーパレス化が進んでいない結果がでているという。通知書や請求書などを配信する企業は、あの手この手を使って消費者を紙ベースから遠ざけようとしているが、消費者を思うように動かすことができていない。消費者は、ハードコピーに記録保管や支払いの備忘の価値を感じているからだ。米国の企業は、去年266億通以上の通知書や請求書を世帯に配信した.[1]。そのうち、ペーパレスで配信された請求書や通知書などは、34%しかないという。(2016年度トランザクショナルコミュニケーション・決済市況調査)[2]。 これは、消費者が依然として紙の通知書を郵便で受け取りたいことを示唆している。


紙の通知書を好む

特にクレジットカードにおいては、9300万人の保有者の約半数が紙の通知書を受信していて、それを好んでいる。(CreditCard.com) [3] 消費者の紙への執着は、紙の通知書が当面なくなっていかない証といえよう。それどころか、消費者の45%が、紙の通知書が有料となったとしても、受信しつづけたいという結果がでているのだ。 調査によると、小額の報酬や値引き程度だけでは、電子に切り替えるためのきっかけにはならないという。 切り替えるには、最低50ドルの報酬が必要だと過半数(52%)が言っている。

通知書を紙から電子に切り替えるためにどのようなインセンティブで説得しますか?


年齢が影響

紙か電子かの好みは往々として年齢が影響する。例えば、18歳から25歳で紙のクレジットカード明細書を郵便で受信しているのは6%にすぎない。これが、71歳以上となると36%になる。InfoTrendsの調査によると、小切手・デビット口座(銀行口座)の明細書を電子で受信している人の55%は、紙の明細書でも受信している。クレジットカードの明細書について言えば、44%が紙でも受信しているという。調査は、数年の間動向を追っているが、消費者が紙と電子両方を受信する傾向が続いているのだ。


電子で受信している請求書と通知書の中で、紙で受信をやめたのはどの位ですか?

なぜ消費者はここまで紙に執着するのであろうか。調査の回答者によると、理由は以下の通りとなる。

  • 支払いのリマインダ(51%)
  • バックアップや記録としての保管 (29%)
  • 情報のアクセスと管理が簡単(25%)
  • 便利だから (24%)
  • 無料だから(23%)

CreditCard.comの調査も同様の結果がでている。郵便で通知書を受信している消費者の67%が、慣習化されていて、特にそれを変えたいと思っていない。.80%は記録として残したいと希望し、74%は支払いのリマインダとして使い続けたいという。

米国消費者法律センター(NCLC)が実施した2016年度調査では、従来の紙の通知書を推奨している。電子通知書は山積されたメールの中に埋もれてしまうからだ。金利や最低支払い金額、又は、不正請求や疑わしい請求など、カードの保有者が、重要な情報を見逃してしまう恐れがあるという。もっと懸念されるべきことは、電子明細書を見逃してしまうと支払いが滞り、与信に悪い影響を与えてしまうことだ。この調査でも、消費者が紙の明細書に価値を感じる理由として、保管記録と支払いのリマインダがあげられている。電子通知書は、まずウェブページをアクセスし、記憶しているパスワードを入力し、書類をダウンロードしないとけなく、消費者が情報をアクセスするまで煩雑な手順を踏まなくてはいけない。単純に封筒をあけるより、複雑だ。

銀行、クレジットカード会社など企業が電子の通知書を受信させようと強く推しているにも関わらず、消費者はそれを受け入れる準備ができていない。さらにペーパレスに移行してしまうと、実際には益よりも害が多い。それより、消費者が紙と電子両方を受信している状況をもっと有効に活かすために、印刷されたコミュニケーションを改善すべきであろう。InfoTrendsが2,000人の消費者を対象に調査したところ、企業がコミュニケーションを改善すべく項目のトップ5は以下の通りとなった。

  1. 判りやすくする
  2. カラーをつかって重要な情報を強調する
  3. コンテンツをパーソナライズする
  4. 情報提供・ためになるコンテンツを掲載する
  5. 複数のコミュニケーションをひとつの封筒にいれる

最新の「InfoTrendsのアプリケーションの予想調査(2014~2019)」によると、トランザクショナル・ドキュメントは、年平均で、4.8%減少していくという。そのような状況の中で、トランスプロモに商機があるかといえよう。マーケターが、必ず読まれる明細書にマーケティングメッセージを埋め込みたいと考えるのは自然である。2014年~2018年の間、デジタル印刷されたトランスプロモのページ数は、180億ページから320億ページに増えていくだろう。これは11.3%の平均年間成長率だ。フルカラーインクジェットプリンタに投資した印刷会社にとっては朗報といえる。トランザクショナルドキュメントをカラー化することにより理解度を高め、消費者が求めるコミュニケーションの改善を印刷会社は実現することができるのだ。加えて、インクジェット技術は、パーソナル情報、クーポンや特典などを個々の消費者に提供することができ、個別のニーズに沿った役立つ情報も提供することができる。


まとめ

印刷会社は、クライアント企業の顧客を理解し、どのようなコミュニケーションを望んでいるかその趣向を把握する必要がある。今日の市場は、比較できないほど複雑になっていて、全ての世代でマルチチャネルコミュニケーションの需要が増えつづけていくだろう。紙であろうと電子であろうと両方であろうと、印刷会社は企業が個々のお客様のニーズに答えられるよう手助けしないといけないのだ。

[1] The Household Diary Study, USPS 2015

[2] http://www.infotrends.com/public/Content/Services/Brochures/TCP.pdf

[3] CreditCards.comの電話調査 Princeton Survey Research Associates International June 2016

 

 

  

whattheythinkmini
By Barb Pellow
Published 2016年9月08日
原文 http://whattheythink.com/articles/82125-consumers-prefer-paper-transaction-documents/
翻訳協力 Mitchell Shinozaki

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