書籍出版:紙の本は活きている!(WhatTheyThink?

現在のデジタル世代にあっても、紙の書籍は息づいている。紙の書籍の死は、極端な誇張であって、 新しい技術と顧客の好みは一点に向かっている。この文章は、サプライチェーンの課題を解消するツールと技術を探索する。


主なポイント

  • ピュー研究所によれば、65%の米国の成人は過去1年間に紙の書籍を読んでいる。その他では28%が電子書籍を読み、14%がオーディオ書籍を読んでいる。
  • これまでは、品質、生産性、柔軟性、コストにまつわる限界がデジタルの幅広い受け入れを遅延させてきたが、高速インクジェット生産システムが全てを変えようとしている。
  • デジタルで印刷された書籍のページ数は、2014年の740億ページから、2019年には1兆1200億枚まで増加すると見込まれる。


イントロダクション

書籍出版社と印刷会社は、ここ数年間極めて困難な課題に立ち向かってきた。顧客の要望が短期間の間に劇的に変化したことによって、これらの会社はそれを技術的に追いかけねばならなくなった。スマートフォン、eリーダー、タブレット、そして電子書籍の激増によって、顧客がどのようにコンテンツにアクセスするのかを予測するのは、不可能といわずとも極めて困難となった。歴史的に、それぞれの書籍を出版するのは全てがギャンブルであった。そしてそれら書籍の利益は、出版社の販売見込みの正確さに依存していた。出版社と書籍製造業等にとって、新しい技術と顧客の紙への嗜好はひとつにまとまりつつある。結果として、現在のデジタル時代でも紙の書籍は活性化され、効率的なサプライチェーンの管理のためのツールと技術は容易に利用することができる。



書籍は死んだ、というのは誇張であった

5年前には物理的な書籍の将来は明るくなかった。電子書籍の売上は成長を続けていた。大型書店のBordersは閉店し、紙の書籍は過去のものとなると思われた。今日、伝統的な書籍に献身してきた人々は、安堵のため息をつけるであろう。ピュー研究所の最新の研究によれば、65%の米国の成人は過去1年間に紙の書籍を読んでいる。その他では28%が電子書籍を読み、14%がオーディオ書籍を読んでいる。

消費者は依然として紙の書籍を好む

この調査によれば、6%の回答者が自分たちをデジタル専用読者と考えている。かたや38%が紙の書籍のみを読むと答え、28%が両方で読書をすると答えた。全体の調査の中で、26%が過去1年間で読書をしていない。

かつては電子書籍は印刷出版業界を葬るとまで言われていたが、これらの影響は極めて限定的である。この調査において、アメリカ人が紙の書籍を読む比率は2012年から変わっていない。一方で、電子書籍の売上は2015年に11%減少した。


サプライチェーンの課題を解決する答えはそこにある

市場要求の変革、ビジネスの諸条件、技術の進化によって、書籍の印刷サプライチェーンは劇的な変化のさなかにある。伝統的に、出版社は印刷について、単体のコストで決めてきた。大ロットのオフセットのみが選択肢であった頃に戻れば、単体のコストは供給者への入札を行うには非常によい。当然コストが低い事は、出版社がその書籍の値付けをする際に、明快に利益となる。単体のコストが安いのが、出版社が一般的にオフセットを好む理由である。大ロットの生産には実に素晴らしくコスト効率の高い生産方式である。しかしならがら、それと同時に出版社は在庫を管理せねばならず、サプライチェーンを管理しなければならない。一定期間販売されなかった在庫(通常6カ月)は、財務的に負債となる。出版社が大ロットの書籍の印刷に素晴らしい価格を提示されたとしても、もしそれが売れなかったらどうなる?

が単体のコストから、キャッシュの支出、在庫管理、サプライチェーン管理、タイトルへのアクセス等に移行したときに、デジタル印刷は救いとなる。 デジタル印刷は書籍のサプライチェーンの全体を再定義し、大量生産のリスクの極小化、市場への迅速な商品投入、廃棄の減少、固定費の削減を可能とする。さらに、品質、生産性、柔軟性、コストにまつわる限界がデジタルの幅広い受け入れを遅延させてきたが、高速インクジェット生産システムが全てを変えようとしている。これこそが書籍のサプライチェーンに最大の影響を与え、デジタル印刷のプラットフォームが印刷出版会社等の成功の基盤となるのだ。

InfoTrendsのアプリケーション別予測を見ると、デジタル印刷された書籍のページは大きな成長が予測されている。デジタルで印刷された書籍のページ数は、2014年の742億ページから、2019年には1兆1200億枚まで増加すると見込まれる。これはデジタル印刷が、376億ページ増加することを意味する。

デジタル印刷される書籍のページ数予測

ページ増加の先に

インクジェットで印刷されるページが増加するという先に、この技術の統合には、出版社にとってのみならず印刷会社にも大きなメリットをもたらす。InfoTrendsは、インクジェットが出版社にもたらす価値とページ数増加による書籍製造業者の価値を8つの方法でしめした。


  1. 本生産前の営業用サンプル
  2. 在庫、倉庫、返本リスクの軽減
  3. 再印刷、バックリスト、在庫無しの書籍を新しいビジネスに変える
  4. 市場への書籍導入の迅速化
  5. 納期の短縮
  6. 小ロット生産、スペシャル対応、自費出版書籍への対応
  7. NFCタグ、AR(拡張現実)、QRコード等によるインターラクティビティ
  8. 利益を回復する




結論

マークトゥエインはこう冗談をいった。「私の死のレポートは、誇張されるであろう。」同じ事が、伝統的な書籍の市場に言えるようだ。印刷のページボリュームと伝統的な紙の書籍の需要は、明らかに安定している。インクジェットの能力によって、新しいビジネス機会が出版社と書籍製造業者等に提供されている。もしあなたがまだインクジェットの価値を探索していないのであれば、今こそその時である!


 

 

  

whattheythinkmini
By Barb Pellow
Published 2016年9月15日
原文 http://whattheythink.com/articles/82249-book-publishing-printed-books-live/

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