ダイレクトメール2016:印刷会社は実行に移す年(WhatTheyThink?)

今年の市場は、DM印刷にとって、大きなビジネスチャンスとなるだろう。印刷会社は、進化するマーケター(企業のマーケティング担当者)のニーズを的確に満たすにはどのように対応したらよいのだろうか。成功するための秘訣はなんなのだろうか。今回の記事は、データ主導パーソナライゼーション、マルチチャネルコミュニケーション、広告代理店を装うなど3つのポイントに焦点を当てていく。

デジタルマーケティングが急速に拡大しているにも関わらず、マーケティング活動において依然として重要な役割を果たし続けているDM。 InfoTrendsは、マーケティングの上級幹部に対し、今後の戦略の傾向について、過去12ヶ月間に3度にわたって調査を行った。そこから得られたひとつの重要なメッセージは、DMが今後も使われることだ。トレンドを見る限り、マーケティング活動に欠かせないものでありつづけるであろう。

デジタルマーケティングが急速に拡大しているにも関わらず、マーケティング活動において重要な役割を担い続けるDM。2015年、InfoTrendsは、マーケティングの上級幹部に対し、今後の市場戦略について、いくつかのアンケート調査を行った。そこから明らかになったトレンドをみると、DMは企業のマーケティング活動に欠かせない役割を担いつづけるであろう。InfoTrendsの「ミクロからメガまで:ビジネスコミュニケーションのトレンド」の調査によると、企業がDMに支出する平均金額は627,000ドル=7000万円内外だという。

市場に大きなビジネスチャンスがあるのは確かだが、常に進化していくマーケティング部門のニーズをどのように満たすか、成功するための秘訣はなにかなど、印刷会社はDMについて自問しなくてはならない。印刷会社が今日の市場で発展していくには3つの領域に注力すべきであろう。それは、データ主導のパーソナライゼーション、マルチチャネルコミュニケーション、そして、代理店機能を実装することなどである。


データ主導のパーソナライゼーション

ターゲットとなる顧客によい印象をもってもらうにはDMのパーソナル化が欠かせない。DMをパーソナル化すると、お客様が大事にされていることを感じ取ってくれるからだ。 2015年末にInfoTrendsは、「ミクロからメガまで:ビジネスコミュニケーションのトレンド」という調査を完成させた。それによると、延べ800社の61%以上が、配信しているコミュニケーションを、なんらかの形でパーソナル化(1対1)、又は、セグメント化(1対少)しているという。

通常印刷というと、企業のマーケターは、郵便物、サイネージ、クリエイティブ、デザインなどを購入することを念頭に、印刷会社を選ぶ。 最近は、これらの消耗品に加えて、ドキュメントマネージメント、データ処理、データ分析など周辺サービスの提供を求められることも増えてきた。周辺サービスは、すべての印刷会社が提供できるわけではないので、選ばれるための差別化につながる。印刷会社が、顧客のマーケティングを支援するため、データ分析やデータマイニングで顧客の趣向をより深く把握できるノウハウを備えることは賢明だろう。セグメンテーションすることにより、企業がより顧客に関連性の高いメッセージをおくることができ、印刷会社ではコスト削減、ひいては売上げ増加につながる。印刷会社にとっては、従来のサービスに加えて新たな価値訴求となるのだ。。

 

周辺サービスの重要性



全てのチャネルは常時接続!

スマホのユーザーが急速に増えているため、積極的にデジタルメディアをマーケティング戦略に組み込みはじめたマーケティング部門。彼らにとって、DMとデジタルマーケティングの融合が理想的な戦略になりつつある。DMマーケティングは、顧客のエンゲージメントとレスポンスを促す一方、デジタルマーケティングは統合化されたマーケティング体験を提供する。だから、DMは先制する起動力となって、顧客をマルチチャネルに誘導する役割を果たさねばならない。

マーケティング部門はチャネルを渡り合うコミュニケーションに取り組むことにより、顧客との結びつき(エンゲージメント)を強化しようとしている。InfoTrendsが実施した「ミクロからメガまで」Micro to Megaの調査によると、通常のマーケティングキャンペーンで使われるメディアの数は平均3種類。マーケティング部門の35%が印刷とデジタルメディアを連動させていて、キャンペーン全体の49%が印刷とデジタルメディアの組み合わせだという。

マーケティング部門はチャネルを渡り合うコミュニケーションに取り組むことにより、顧客との結びつき(エンゲージメント)を強化しようとしている。InfoTrendsが実施した「ミクロからメガまで」Micro to Megaの調査によると、通常のマーケティングキャンペーンで使われるメディアの数は平均3種類。マーケティング部門の35%が印刷とデジタルメディアを連動させていて、キャンペーン全体の49%が印刷とデジタルメディアの組み合わせだという。

 

印刷会社を選択するときの条件

マーケターは、クロスメディアコミュニケーションのメリットをよく知っている。二種類以上のチャネルを使ったときのインパクトについて聞いたところ、レスポンス率においてもコンバージョン(顧客化)においてもクロスメディアコミュニケーションは有用だとの意見が大勢だ。 印刷、モバイル、ソーシャル、ネットなどメディアを複合的に展開させた方が、最も高いレスポンス率とアクション率を得られるのである。

 

チャネルを増やすほど良い結果をもたらす



広告代理店機能を取り込む

InfoTrendsの「顧客エンゲージメント技術」Customer Engagement Technologiesの調査よると、データ主導のクロスメディアの展開は複雑だと多くのマーケッターが感じていて、それに対応するために支援が必要だという。チャネルやデータが増え、消費者とつながることが益々難しくなる中、企業はDM戦略、投資回収効果、データ、そして、意義あるダイレクトマーケティング体験などを手助けしてくれるパートナーを探している。

 

カスタマーコミュニケーション:手助けが必要な領域

このようなスキルや能力をもつ印刷会社は少ないが、ダイレクトマーケティングキャンペーンにおいてマーケターの戦略的パートナーになるために何をすべきかを検討しなくてはならないだろう。買収、提携、社内育成などの選択肢があろうが、それを実行に移している印刷会社があるのでいくつか紹介したい。

    シカゴのTukaiz 社は、印刷とマーケティングサービス両方を提供する会社。去年、社内にagenzという小さなクリエイティブ部門を設立しことにより今の体制となった。新たに代理店機能を加えることにより、デザインから生産、出荷、在庫へと素早く移行したい顧客の要望に答えられるようになった。デジタルと従来メディア両方を網羅したキャンペーン戦略やデザインニングなどを提供しており、Tukaizの有数の生産設備と直結していることでさらに優位性を得た。顧客に包括的なサービスを提供することにより、迅速な納期、安い価格などを実現でき、顧客は、マーケティング活動の効果を最大限に引き出すことができるのだ。

  • イリノイ州、ブルーミントン市のpii社はミシガン州ランシング市のICS社を買収し、データ分析サービスを提供しはじめた。そのサービスは、ビッグデータをいかに事業の業績に反映させ、高い投資回収率=ROIを目指すマーケティングプログラムに、注力している。同社を買収することにより、従来の大量印刷だけではなく、ダイレクトマーケッティング戦略策定、データ分析、検索エンジンマーケティングやメールオートメーションなどデジタルサービスを合わせて包括的に提供できるようになった。


まとめ

激動するコミュニケーションの世界においても重要な役割を担い続けるDM。変貌する今日のビジネスのニーズに対応するため、その役割も変わりつつある。進化するDMのインパクトは時間がたつにつれ強くなっていくだろう。だから、DMはマーケティングミックスの中で生き残っていくことは間違いない。印刷会社がDMで成功しつづけるには、全てのチャネルにおいて、顧客に関連付けたデータ主導のコミュニケーションを提供しなくてはならない。将来は、戦略策定、ROI、有益な顧客体験などを提供するまで業態を広げていくことができるだろう。企業は、結果のでるマーケティングで手助けを求めている。今こそ印刷会社はそのパートナーとなる時である。

 

 

  

whattheythinkmini
By Barb Pellow
Published 2016年1月28日
原文 http://whattheythink.com/articles/78730-direct-mail-print-provider-opportunity/

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