XEIKON Inkjet drupa 2016(WhatTheyThink?)

今回はXeikonのTrillium液体トナー技術と印刷機、及びその他のdrupaでの出展を見てみたい。

まず最初に、現在インクジェットのソリューションを持たないXeikonを、インクジェットシリーズでなぜ取り上げるのか説明したい。それは乾式トナーとインクジェットの両方の印刷機と競合すべく設計された、Trillium One液体トナー連続紙プリンターを導入したことによるけれども、それ以外にもまだある。

2014年4月に世界に137拠点を有するFlint Groupは、ゴールドマンサックスと世界で最も早く成長しているコングロマリットの一つ、コックインダストリーに共同で買収されている。

新しい財源を得て、Flint Groupは2015年12月にXeikonを買収し、商品ポートフォリオを大きく拡張した。この最初の買収によって、Flint Groupは単なるインクメーカーから脱皮した。Xeikonの買収によって、Flintはインクを消費する機械のビジネスに参入した。Flint Groupの買収はXeikonが第一弾であったが、デジタル印刷の領域において重要な買収が続くのではないかと推測している。恐らく、いくつかのインクジェット技術がFlintの視野に入っているのではないか?

Xeikonは、トナーの印刷システムの製造、導入には長い歴史がある。1994年にDCP-1を初めて出荷して以来、独自のLED画像バーを製造し、独自のトナーを造り、搬送系の設計製造を行ってきた。我々は、現在利用されているデジタル印刷の主力である乾式トナーの電子写真方式には、慣れ親しんでいる。長年に渡って、これらの機械メーカーがこの技術の限界を突破しつづけていることに、非常に感心している。その品質はオフセット印刷が作った基準をみたし、印刷技術として独り立ちしている。しかしながら、この技術が成長するにつけ、印刷速度と印刷幅がさらなる拡張の本質的な課題となってきた。市場が、この限界を超えるのはインクジェットであると見ている間に、事実は、液体トナー技術がこれらの多くの限界を超える技術であった、ということだ。


Trillium One 画像処理

最初にTrillium技術をみたのは、2012年2月、その年のdrupaの準備中であった。実際にXeikonはdrupaにおいて、Trilliumをそのブースの2階で展示した。紹介されている間に液体トナーの技術が為し得ることに驚いていた。乾式トナーの弱点を克服するだけではなく、それを低コストで実現できるのだ!そして今Xeikonはダイレクトマーケティング、カタログ等商業印刷向けにTrillium技術を用いた4色機Trillium Oneを発表した。Xeikonは高コントラスト、高濃度の画像には定評があり、高画質はお家芸である。

Xeikonの乾式トナー機の解像度は、1200×3600dpiであった。過去にXeikonの従業員は名刺の裏に「世界人権宣言」を1ポイントの文字で印刷していた。驚いた事に、それはルーペで読めたのだ。実際にXeikonの乾式トナー機はベルギー政府の認証を受け、オフィシャルのベルギーの納税スタンプ用に使われていた。これらのスタンプは、通貨と同等を考えられており、セキュリティーのために他の印刷手段では復元が困難なレベルのディテールが必要とされたのだ。

Trillium OneにおいてもXeikonは乾式トナーと同等に1200dpiの可変サイズのドットを保っている。

この技術の成功には二つのポイントがある;マイクロギャッピングと液体トナーである。印刷機内には同じシステムが各色分搭載されている。

マイクロギャッピングは、イメージングシステム内部の各接触ポイントにおける5ミクロンの間隔と理解するとよいだろう。それはアニロックスローラーとドクターローラーの間、ドクターと感光ドラムの間、感光ドラムとトナーを紙に転写する中間ドラムの間、である。この僅かな隙間(マイクロギャップ)によって、この構造が液体トナーを精度を高く、効率よく分離することができる。

濃縮されたTrilliumの液体トナーはTONNIK(トニック)と呼ばれ、独自で製造されており、当初は10リットルのボトルで販売される。Xeikonによると、大量消費向けによりおおきなドラムでの提供が計画されている。TONNIKはXeikonの乾式トナーの処方と同じく、まずは樹脂を1mmの粒径に粉砕する。さらにそれを10ミクロンに粉砕し、分離剤とキャリアと混合する。さらに高速粉砕機で2ミクロンまで小さくなる。特別な分離剤と混合すると、トナー粒は安定し、隣接するトナー粒とくっつかない。イメージングのプロセスで適度に加熱されると、この分離安定性は減少/除去されトナー粒は一体となる。

液体キャリアは、沸点の高い透明な白のオイルで、不揮発性かつ非伝導体である。液体キャリアはマイクロギャップで分離されている各層で物理的に除去される。除去されたキャリアは全て再利用される。Ingede Germanyによる脱墨性評価は94%で、Xeikonの乾式トナーと同等である。環境への配慮も行き届いている。キャリアオイルが蒸発せずに再利用されることに加えて、インクジェットでは必要とされる補助的な加熱を必要としない。

下記のビデオでアニロックスローラーとドクターローラーの間でのトナー粒の動作が確認できる。ここでは最初の分離を見る事ができる。

次のビデオでドクターローラーと感光ドラムの間のトナー粒の動きが見る事ができる。感光ドラム上の画像によって、トナーがさらに分離されているのがわかる。

最後にトナーはメディアに転写される。残っている液体キャリアは除去され、下記ビデオのように移動される。

 

Trillium One搬送系

Trillium Oneの搬送系は1994年以来乾式トナーで培って確立されたものを受け継いでいる。タワー形状を採用したことで、この印刷機は約16×30フィートとコンパクトな設置面積となっている。

プリント幅は19.7インチ=50cmで200fpm=60m/分である。(実験室レベルでは速度は倍増できる能力があると報告している。) ターゲットとするプリント量は、A3換算で月間5-15百万枚である。紙への事前コート等は必要ではなく、かつ定着温度は比較的低いので、多様なメディアへの対応が可能となっている。Xeikonは現在メディアの認証を進めており、準備ができ次第情報を公開する予定である。

Xeikonによれば、インクジェットヘッドもプレートも使わないのでマイクロギャップのトナーとの比較は困難であるが、乾式トナーよりもプリントコストは減少するという。またインクのカバレッジが40%を超えると、インクジェットよりも低コストであるという。これはインクジェット陣営への興味深い挑戦となるであろう。

Trilliumテクノロジーはパッケージを含めて幅広い市場セグメントに適用できるが、Xeikonはまずはドキュメントプリントを選択している。


Xeikon DFEと Front Endサポート

他の印刷機と同様にフロントエンドはXeikon X-800を用いている。ThisこのDFEは Adobe PDF Print Engine (APPE)を利用しており、エンジン速度を落とすことなくAFP/IPDSもサポートしている。 また抜きのデータ処理を行うためにダイカットファイルをベクトルで生成するソフトVectorizor、ICCプロファイルと特色ライブラリーのためのColor Control、一次元、二次元のバーコードを生成するBarcode、面付けソフトImpactor、生産品質を監視、分析するColorKeyを開発している。

その他の電子写真印刷機と異なり、Xeikonはクリックチャージを採用していない。印刷機はメンテナンスプログラムとともに販売され、消耗品は必要な分を購入する。Trillium Oneは2017年Q2から出荷予定でdrupaで展示される。Xeikonのdrupaブースでは、本体が稼働している“中を覗く”仮想現実が体験できる。


その他のdrupaでのXeikon商品

昨秋のLabel expoにおいて、Xeikonはハイエンドのラベルとパッケージ市場向けにFusionテクノロジーを発表した。この技術は単一の柔軟なプラットフォームが、現在と将来のニーズを満たすべく開発されている。これは4色以上のプロセスをサポートし、さらに“完全にデジタルの”表面加工をサポートしている。現時点では、ScreenWhite、盛り上がりニス、特色、点字、箔(ホット、コールドとも)をサポートしている。

Xeikonはdrupaで紙器用スイートも準備する。3000シリーズを用いて、5色印刷を63fpm=19.2m/分の速度で印刷し、紙器生産の全てをカバーしている。The company has also developed the Xeikon さらにFDU (Flatbed Die-Cut Unit=フラットベッド・ダイカット・ユニット)を開発した。これは時間2000枚を最大サイズ19.2 x 27.6インチ=48.7cm×70cmで抜くことができる。 160 から890ミクロンの厚みに対応でき、段ボールのマイクロフルートにも対応している。時間がかかるセットアップ無しで、迅速かつ正確に自動で断裁と抜きの見当を合わせられるように設計されている。

Xeikonの乾式トナーはCMYK, Red, Green Blue, OrangeとExtra Magentaの各色がある。さらにワンパスでのオパークホワイトとクリアトナーがあり、特別なブランドカラーの再現ができる。さらにPD素材、熱転写ラベル、クリアフィルム、金属フィルム向けの特殊トナーも製造している。これらのQA-I乾式トナーはFDAのガイダンスの食品への間接接触の規準を満たしている。


結論

Xeikonは常に良い商品を提供してきたが、これからは注視しなければならない。Xeikonは常に革新的であったが、Flint Groupへの投資家による新しい資金によって、今後も夢をみて、開発することができる。

 

 

  

whattheythinkmini
By David Zwang
Published 2016年5月12日
原文 http://whattheythink.com/articles/79514-drupa-xeikon-trillium-one-liquid-toner/

 

関連記事

ログイン

ピックアップ記事

  1. 全世界の印刷、パッケージ関係者が会うと、大抵こんな話になる: 「今まで何回drupaに参加しまし...
  2. 2023年は記録上最も熱い夏となったが、2024年はさらに暑くなりそうだ。
  3. デジタル印刷はワークフローを進化させる。
  4. 印刷工程の自動化とデジタル化は必須である。
  5. 段ボール業界におけるデジタル印刷の変革は、何年もの間、実現することを待ち望んでいました。
  6. Xeroxがdrupa 2024の出展を取りやめるとのニュースを受け、欧州担当編集者のRalf Sc...
  7. Keypoint Intelligenceは、企業のダイレクトマーケティング活動が、時代とともに...
  8. 2.デジタル後加工(加飾)と軟包装デジタル分野の潮流としては、先述の他に新たな業容拡大の方向性が...