連載:徒然なり オンデマンド (1)

この度、PODi代表理事亀井雅彦による新連載「徒然なり オンデマンド」がスタートいたします。デジタル印刷をテーマに徒然(オンデマンド)に発信してまいりますのでご拝読の程よろしくお願いいたします。 

2019年はどんな年になるだろうか? するのだろうか? 干支は猪。では前回の猪年はどんな年であったかというと、我らが印刷業界にとっては厄年としか言いようの無い年であった。

アメリカではこの年をピークにして、ダイレクトメールの通数は干支一回りの間に七掛けになっている。ダイレクトメール以外の郵便はさらに減少している。

カタログの通数に至っては半減した。

これらの失われた紙の情報はどこに行ったのか? 猪年に何があったのか? この年には皆様のポケットに収まる、印刷にとっての災厄が発売されている。iPhoneである。アイ「フォン」というからには電話である。電話であるからには、話をしている間は繋がることができる。便利である。スタートレックの世界が実現したのだ。ただし電話していない時は繋がっていない。何もそんなに大騒ぎすることはないではないか。小型軽量の無線電話という革新である。素晴らしい革新ではあるが、特に印刷と関係が無い。

しかしこれだけでは終わらなかった。この災厄は通信ができるコンピューターであった。メールが受け取れる、Webと繋がることができる、検索ができる、という意味で、話をしている時だけ繋がっている電話とは根本的に異なり、皆さんはこの災厄を通して24時間Webの世界と繋がっているという事と相なった。かくして皆さんは追跡の対象となった。

ダイレクトメールもカタログも、皆さんの住所に向かって追いかけてくる。これからは、皆さんのポケットの中身を追いかけることができるようになったのだ。さらにWebで最も有益なもの、「検索」することによって、「何を探しているのか」までばれてしまってから追いかけられるのだ。追いかける側、すなわち皆さんの財布を開かせたい側からすれば、「こっちの方が効き目ありそう」と思うのはやむを得ない事であった。そして、そうなった。

(続く)

著者プロフィール
社団法人PODi 代表理事 亀井雅彦(かめいまさひこ)
デジタル印刷活用をテーマに、印刷機メーカーや印刷会社に対して、人材の育成および教育・コンサルティングサービスや各種普及啓発活動、イベント、セミナーの開催を実施。

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