連載:徒然なり オンデマンド (10)

ディノス・セシール様の革新的な印刷によるマーケティングの第二弾

こちらも個人に向けた完全なバリアブルのカタログである。顧客がWebサイトで購買した商品(この場合、黄色いスカート)の写真を表1に大きく配置し、顧客名(この場合、富士花子様)で呼びかけ、「毎日の着こなしのご参考になりますように」とメッセージを添えている。捲ってみると…

富士花子さんがディノス・セシール様のオンラインショップで購買したスカートと似た商品を、一般生活者がカッコよくキメテいる写真を、インスタグラムから見つけてくる。もちろん人間ではなくAIが見つけてくる。それを並べる。(中面右側) さらにそのAI君は、そのキメテいる写真でスカートと組み合わされている品物を抽出する。シャツ、鞄、靴、といった類である。

最後にその抽出した品物に最も近いディノス・セシール様の商品を並べて、リコメンドしている。(中面左側)商品名、商品番号、金額が提示されているので、サイトに入ればすぐ購買できる。モバイルショッパーにはQRコードが準備されており、一気にサイトに入れる。購入できる。

これはまさに仮想店舗だ!

思えば小売業とは店舗に顧客を誘導し、商品を見せるのが本業であった。この場合は、お勧めの服、靴、鞄を着せたマネキンを置いておくのが定番である。マネキンの周りにはそれらの商品の棚がある。それをそのまま丸っと買うのもよし、なにかしら閃いて、それに近いものを買ってもらえればそれでよかった。


Pinterest社プレゼンより抜粋。2018年DMA &THENツアーで訪問。詳細(http://www.podi.or.jp/event/0705catalog_event_dl/)

このパーソナライズド小冊子は、仮想であるが店舗そのものである。さらには店員のセンスと店舗の品揃えの制限を受けるマネキンではなく、制限が無い世の中全体に広く問う所が正にWebの世界である。ECの弱点である「検索に依存して、人々を閃かせる力の弱さ」を見事に印刷カタログで補完しようとしている。
かくして新しい印刷の市場が、デジタルマーケティングを取り込むことにより、桁外れの規模で開こうとしている。

(続く)

著者プロフィール
社団法人PODi 代表理事 亀井雅彦(かめいまさひこ)
デジタル印刷活用をテーマに、印刷機メーカーや印刷会社に対して、人材の育成および教育・コンサルティングサービスや各種普及啓発活動、イベント、セミナーの開催を実施。

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