そうだ! drupaへ行こう!

印刷に関わる者にとって、drupaは頂点である。何の頂点かというと、色んな事が頭に浮かび上がるが、そんなことはどうでもよい。とにかく頂点なのだ! drupaに行く事に、ときめき、小躍りし、勇んで「我こそは!」と思わぬ者はおるまい。行けない人間は「くっそー、4年後だ!」と心の中で叫ぶ。出展するものも、見に行くものも、セミナーで喋るものも聴くものも、変わらない。いくら遠くて時間がかかっても、飛行機はギュウ詰めでも、エコノミー料金といいながら少しも安くなくても、時差に苛まれても、挙句の果てにはスリとジプシーの被害にあっても、ビクともしない。老いも若きも、富むも富まざるも、皆、頂点を目指すのである。かくも出張でdrupaに行けるか、行けないか、は、正に人生における大事件であった。

デュッセルドルフのアルシュタット(旧市街)で食べる白アスパラとワインは季節柄悪くないが、一大イベントで溢れかえる人並みを、「待ってました!」とばかりに捌くホテルとレストランの人達の顔は、全員が請求書に見える。それも昨今は、独マルクではない。€の請求書だ。安くない。ホテルは“drupa料金”なる、1年前から予約しても価格は通常の5倍以上という代物。街に出れば、スリとジプシーがお待ちかねだ。イベントビジネスで潤う街、デュッセルドルフは、drupaの蜜に誘われる人間にとっては極楽と地獄のセットのようだった。それでも我々は「頂点」を目指したのである。しかし、今年は違う。

昨年の予定であったdrupaは延期となり、さらに中止となり、果ては仮想での展示、オンラインでのセミナーとなった。行く気満々であった私は、大いに拍子抜けし、残念がるものであったが、「待てよ」と思った。主催者側が、Virtualで展示とセミナーをやってくれるという。それも無料で。

もう狭くて高い飛行機に、乗る必要はない。時差に悩むこともない。ホテルやワインで、高い請求書を見て、チップの金額に悩むこともない。日本の飲食業、宿泊業と同じ気の毒なことが、最強と思われたイベントビジネスの街、デュッセルドルフを襲っているに違いない。仮想で規模は大いに縮小したとはいえ、あのdrupaが簡単な事前登録だけで、無料であなたの眼前に広がるのである。「頂点」があなたのモニターに出現する。これを逃す手があろうか?

本来の展示会が達成するべき目的、見る、聞く、学ぶ、は、十分に達成できる筈なのだ。是非とも、頂点を味わっていただきたい。当然ながら私も仮想のdrupaはこれが初めてなので、なんとも言えないところはあるけれども、きっと満足させてくれるに違いない。もし、あなたが改善できるところに気が付けば、あなたは次回の主役になれるかもしれない。


virtual.drupa 公式ページ

これまでdrupaに行けてない人も、歴戦のdrupa勇士も、「そうだ! 今週はdrupaに行こう!」
当然ながら、運用は現地時間で行われる。現地時間に7を足せば日本の時間となる。朝9時とあれば、9+7=16、すなわち夕方4時である。在宅勤務の方は、一人時間差攻撃で、夕方から始まる欧州時間からの勤務をお勧めする。多少は翌朝に時差?が残るかもしれないが、なーに、飛行機に揺られて戻ってくることを考えれば、何でもない。残念なことに白アスパラには少し早いので、瓶詰で。白ワインはそれぞれのご予算で。いずれにせよ昨今のデフレ日本で、それも円で買う分には、比較にならないほど安いはずだ。チップも要らない。


Prost!(乾杯!)

本来の展示会の目的である、見る、聞く、学ぶ、からは少し外れた、皆さんと会場で出くわしたりすれ違ったりして挨拶したり、パーティーでお目に掛ったり、アルシュタットでご一緒したり出来ないのは、返す返すも残念である。だべったり、ひょんな話になったり、仲良くなったり、展示会そっちのけで同窓会やったり、井戸端会議→Water Cooler Conversation(Wineの方が望ましい)であったり、ここら辺りリアルならではの醍醐味でしょうね。そこは来年のIGASで。あるいは4年後のデュッセルドルフで!私がワイン片手に収集した情報は、追々お知らせ申し上げます。

追伸:それにしても、イベント観光業の側面でもあった、スリとジプシーはどうしているのであろうか? コロナでの休業手当は出そうにないが。

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