ついにLandaがナノグラフィー印刷機を市場投入へ(WhatTheyThink?)

写真提供:What They Think

待ったのは長く、期待も大きかった。そしてLanda Digital Printing社は、ついにdrupa2016で登場する商品でそれらに報いることができると発表した。

Landa Nanographic Printing®印刷機についてもっとも大事なニュースは、今すぐ発注可能だ、ということであろう。それは商業化直前の商品であり、同社はその信頼を含めたすべてをdrupa2016における4機種の投入に賭けている。

“誰もが疑っていることを非難しない” ベニー・ランダ氏はLanda Digital Printing社を3月23日にイスラエルRehobotを訪れた業界紙の団体にこう述べた。

この団体はその他の人々と同じく、drupa2012で同社が最初の紹介した際の、稼働しないディスプレイだけの機械、保護されていた小さな出来の悪いサンプル、そして決して果されなかった市場導入の約束、を覚えていたのだ。しかし、もしこの団体がイスラエルで見た物がなにかを指し示しているとしたら、メッセデュッセルドルフのHall9を今年訪れる人は、自分たちの疑惑を疑ってかかる準備が必要であろう。 初めて稼働している機械を見た。手ごたえをもって、大量のプリントが給紙から、ディスプレー上で確認でき、そして横たわっているのを見た。版形は大きく、ディテールはシャープ、そしてカラーはパッと見はゴージャスであった。ランダは団体に約束した。“皆さんはぶっ飛びますよ。”

デモとサンプルが進むにつれ、彼が言っていることは嘘ではなかった。今や彼が為さねばならない事は、この疑念を雲散霧消させるデモを、drupaでもう55回やらねばならない事である。ショーの期間中毎日5回にわたって、彼はナノグラフィックについて4年間語ってきたことがそこに厳然と存在し、彼らが造ったB1の枚葉機と40インチ幅の連続紙の印刷機こそが、次の投資対象であることを印刷会社に確信させねばならない。彼はどのような疑念であろうとも、Landaブースで稼働している3台の実機と、ライセンスパートナーであり自社ブランドでナノグラフィック機を展示している小森コーポレーションの機械をもって、立ち向かうであろう。同時に展示されるのは新しいメタライゼーション(Metallization=絶縁体、半導体の上に導体の皮膜を形成する事)の技術で、従来型と異なり全く素材のヤレが無いという事にハイライトを当てている。

Nanography® ナノグラフィーの基本はdrupa2012で公開された時から変わっていない。このプロセスは、もうひとつのLandaのプロジェクト、周辺の空気の温度を下げる試みから当然の成り行きである。この研究のためにLandaの科学者はナノ粒径を生成する新しい方法を見つけなければならない:異なった特性と挙動を持ち、超小型サイズを生成する素材(ナノ粒径は少なくとも100ナノメーターの一回り小型となる;ナノメーターはメートルの10億分の1である)予期しなかった発見は、ナノ粒径は印刷の顔料に著しく利用可能であることだ。水性のナノインクを加熱されたブランケットに射出し、液滴から水分をほとんど除去し、基材に転写する。たとえば非常に薄い(500ナノメーター)デカール(写し絵)のようなものだ。Landa氏によればこれによって通常のインクジェットとナノグラフィックのインクジェットには二つの大きな違いが生まれる。

  • ナノグラフィックの転写画像はほとんど乾燥しているので、基材へのインクの沁み込みやその他の水分による作用は存在しない。
  • すべての顔料が基材の表面に残るため、発色のための量が少なくすむ。

これはいくつもの効果を産み出す。その中でも最も重要なのは、ナノグラフィーは現在使われているコート紙、非コート紙にインク定着のための事前の塗布等なんら必要なく印刷できることである。これは印刷会社にとっては、従来の紙をそのままナノグラフィックの印刷に使え、同じスピードで印刷ができる。さらに製造会社によればオフセット同等のコストで印刷することができる事を意味している。

オフセット印刷同等の品質というのは、インクが乾燥したフィルムが、シャープでドットゲインが無く、水性のインクが紙の繊維に沁み込む事によるチリが無いという事実に寄っている。印刷領域の制限はなく、7色(CMYKに加えてオレンジ、グリーン、ブルー)のナノグラフィー印刷機は93%のパントーンカラーを表現でき、オフセットよりもISOのガマットが50%広い。

ブランドオーナーは彼らのコーポレートカラーが特色や特練りされたインクでなくとも表現できるデジタル印刷機にワクワクするであろうと、ランダ氏は述べた。

Landa Digital Printing社の開発ラボでのデモを見た記者達は、いくつかの疑念が払拭された。ひとつにはナノインクがトイレットペーパーに垂らされたが、ほとんどなにも見えないー通り抜けたのだ。もうひとつは印刷機のブランケット上のナノインクは、ほんの僅かな圧で完璧に素材に転写したことだ。

drupaのLandaブースではナノグラフの印刷機が3機種展示され、ライブの生産のデモを行う。アプリケーションは、商業印刷、軟包装印刷、紙器印刷、そしてPOPである。

6台の機械が展示されたdrupa2012から変更を加えて、B1の枚葉機を2台を展示する。4年前は枚葉機は40インチ幅であった。これは、Landa氏も認めているが、B2(29インチ幅)が“ショーの花”になると計算違いをしたからであった。drupa2016においてはB1以外の枚葉機は、Landaのブースには見当たらない。B1が王座につくのだ。

ランダ氏曰く、すでに現在のモデルの注文は受けており、さらにショーで受注する見込みである。設置は来年になる。価格は見込み客には開示されているが、公開はされていない。

S10枚葉機 片面の印刷機としてS10は紙器とPOPが中心となる。最大紙サイズは29.5“×41.3”で32ポイントの厚みのメディアに対応できる。最大速度は毎時13,000枚でdrupaではそのスピードで実演される。当初の出荷は毎時6,500枚のスピードで行われ、設置が開始されるころフルスピードのオプションが市場で設置可能となる。drupaにおいてその6,500枚のスピードはS10P枚葉両面印刷機でも実演される。多くのスペックはS10と共通である。S10と同じくデモは13,000枚/時で行われるが出荷は6,500枚で行われ、後の市場でのアップグレードで13,000枚となる。同社はS10P の印刷コストのオフセットとの損益分岐点は十分に高く、商業印刷のオフセットの仕事の50%をカバーできるという。S10のパッケージ向けの発表と同じである。

W10連続紙印刷機 ランダ氏曰く、軟包装のコンバーターはこの機械が提供するようなデジタルソリューションを“渇望”している。41.3”幅でCMYKに加えてOBGと白を備え、W10は最速で分200mを印刷できる。drupaでのデモは100mであるが市場で200mまでアップグレードが可能だ。W10のオフセットとの損益分岐点は30,000フィート=9,144mという。

ナノグラフィーの印刷機はホール15 の小森コーポレーションのブースにImpremia NS40 として展示されている。drupa2012においては多くのオフセット印刷機メーカーとの提携を発表したが、実際のナノグラフィーの稼働機は小森からのみ提供されている。発表では、Impremia NS40は4色、単面機で、最大スピードは6,500枚/時である。

これらすべての機械はバリアブルデータ印刷用に作られている。ベニー・ランダ氏が1993年にIndigoを成功裏に導入した際に、初めて導入した技術である。たとえば発表の際にも、W10 はフィルムを100m/分のスピードで印刷しながら、3つの異なったパッケージのレイアウトに切り替えた。

この機械は富士フィルムDimatexのSambaピエゾインクジェットヘッドを使用している。ランダ氏曰く、高速の射出能力があれば、どのヘッドでも対応可能である。ヘッドはループ状の転写ベルトに近接してインクを射出し、枚葉機の場合はそののちにUVまたは水性のコーティングを行う。インラインで熱風乾燥またはUV乾燥の追加が可能だが、インクは既に乾燥しているのでこれはコーティング用である。

ナノグラフィーだけがLandaの印刷機を、他のデジタル機と差別化しているわけではない。3つの関連するソリューションが存在する。まずは印刷機制御システム、さらに品質管理システム、そして毎日の生産を管理するリモート監視機能をテストも含めて逸早く採用した。

最も端的にわかるのがLanda オペレーター・コクピットである。これはS10とS10Pの枚葉機のコマンドセンターとなる。これはメーカーの信念で、スマートフォンやタブレットのようにタッチスクリーンによるユーザー体験が、印刷においても主力となると考えている。これらのタッチスクリーンのプロトタイプはdrupa2012で見受けられた。

最新のバージョンは大きく複雑な三面鏡のような構造で、それぞれが45度の角度でセットされており、S10とS10Pの排紙部に設置される。この場所はオペレーターが出力物を目視できるようにされている。枚葉機はフィーダー部分にもタッチスクリーンが設置されている。W10にはコクピットの代わりにスタンドアロンのオペレーターコントロールステーションが同じ機能で提供される。

デジタル画像と印刷機に装着されたカメラから送られるライブビデオが提供されることにより、オペレーターはリアルタイムにジョブ、機械の稼働性、出力物をコクピットから管理することができる。これらの映像はタブレットからも見る事ができる。

アクティブ・クオリティー・マネジメント(AQM=インラインの品質検査システム)からもデータが送られてくる。このシステムはランダ曰く、“ひとつひとつのピクセル”の印刷品質をカラーと見当合わせでモニターしている。 問題が発見されると、訂正は自動だ。ランダ曰く、AQMは完璧なので、シートの抜き取り検品など要らなくなるし、ある日には“暗室のデジタル印刷工場が可能”という。

テクニカルサポートシステムの開発には、ARと3Dを使って印刷機の部品のイメージをインターラクティブに、オペレーターと遠隔地のリモートのエンジニアに見せる事ができるようにした。このイメージは閲覧者によって、管理、操作そして検査が可能で、機械の診断、メンテナンスそしてトレーニングに利用できる。

発表の途中で、700kgのアルミフォイルの屑の山と、ナノグラフィーから生まれた小さなメタリックのボトル上の物との差を尋ねられた。 現在ではこの屑の山がヤレとなっている、その同じジョブをナノグラフィーで行うと、このボトルの中の量―約50gで出来るのだという。

記者達が見た物は、そしてdrupaのLandaブースを訪れる人が見る物は、Landa Nano-Metallography(ナノメタログラフィー):インラインのメタライゼーション(Mettallization=メタライゼーション 一般的に絶縁体、半導体の上に導体皮膜を形成すること。)のソリューションであって、既存のラベル・パッケージの印刷機で稼働できる。

従来の、ロールから剥離したフォイルを少し基材(紙やフィルム等)に粘着した後はヤレとしてしまう方法に代替する技術である。ナノ規模に層状化された基材は、必要とするハイライトがどこであっても転写可能である。この機構は印刷機の胴の一つに金属印刷モジュールを搭載し、基材上にパターン印刷されてあるトリガー(受理層)に反応して、ナノ状の層を塗布ローラーから基材に転写する。

箔押しもこの方法であればヤレはなく、抜き型も不要、印刷機のセット時間も短く、印刷速度を落とす事もない。従来型のものと比べて50%のコスト削減になるという。At drupaではナノメタログラフィーはラベルのナロー輪転機でライブでご覧いただける。商業展開は2017年からとなる。

Landaブースにあるものはすべてご来臨の皆さまに、ナノグラフィーこそが印刷の主流が待ち受けていたデジタル技術だと、訴えている。印刷機はハイエンドのデジタル機がカバーするロット数と、オフセットがカバーするロット数の領域に存在する利益率の差を埋めるソリューションとして位置づけられている。ランダ氏が語ったのは、“我々はこれをデジタルの付加価値として販売しない”。ポイントは、効率性、品質、スピード、素材の種類、ページ単価コスト等であり、すべてのカテゴリーのあらゆる印刷機が晒されている事である。

drupaに行かれる印刷会社の皆さまへ、Landa劇場の席の予約はお早い目に。drupa2012においては予約でいっぱいであった。そして今年、注目度が下がる事はないのだ。

 

 

  

whattheythinkmini
By Patrick Henry
Published 2016年4月21日
原文 http://whattheythink.com/articles/80029-landa-nanographic-printing-presses-market-entry/

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